ベイズ定理 — 陽性的中率を直感で
答え:わずか 16.7%。医師の半数も外すこのクイズ、決め手は感度や特異度ではなく **有病率** にある。下で「1000人の町」の数字を追えば、その理由が目に見える。
ベイズの定理 — 事後確率の逆転劇
「感度99%・特異度95%の検査で陽性」= 99%病気?
…答え:わずか 16.7%。「え、99%じゃないの?」と最初に固まる地点。医師ですら半分以上が間違える超有名クイズだから、直感が外れて当然のように設計されている。
数字で追ってみよう。1000人の町のうち 10人が病気、990人が健康。全員に検査すると、陽性と判定されるのは合計 60人。内訳は——本当に病気の10人(真陽性)+ 健康なのに誤って陽性の50人(偽陽性)。もしあなたがこの60人の中にいるなら、本当に病気の確率は 10 ÷ 60 = 16.7%。健康な人の母数が圧倒的に多いほど、偽陽性が"本物"を薄めてしまう。
- Step 1: 有病率を 0.001(一般集団) と 0.4(高リスク群) で往復してみる → 同じ感度99%・特異度95%なのに、陽性的中率が 1.96% から 92.86% へ大きく動く。事前確率の効き方を体感する。
- Step 2: 有病率 0.001 で陽性的中率はたった 1.96%。陽性100人のうち、実際に病気なのは2人だけ。直感とのズレを味わう。
- Step 3: 有病率を 0.001 のまま、特異度を 99.9% にする → 偽陽性が激減し、陽性的中率が劇的に改善。
- Step 4: 1000人の町の図を見ながら、TP(真陽性)と FP(偽陽性)の人数比を確認しよう。
// ここで使われる公式
ここでは A=「本当に病気」、B=「検査で陽性」と読む
P(A|B)=陽性→病気の確率(陽性的中率)、P(B|A)=感度、P(A)=有病率、P(B)=陽性が出る確率全体。
有病率が小さいと分子が縮み、偽陽性を含む分母が相対的に大きくなる——上の「60人中10人」がまさにこれ。
// よくある誤解
有病率1%, 感度95%, 特異度90% だと、陽性的中率はたった 8.8%。陽性100人中、実際に病気なのは9人だけ。残りの91人は健康なのに陽性(偽陽性)。上のシミュレーションで有病率を下げていくと、この比率が目で見てじわじわ変化していきます。
有病率が低すぎる集団に使うと、感度・特異度が両方99%でも陽性的中率は50%程度。「誰に対して検査するか」(事前確率の選び方)が結果を大きく左右する。
1回目の事後確率を2回目の事前確率として更新できる。2回連続で陽性なら、事後確率はぐっと上がる。これが「ベイズ更新」の考え方。
// よく出会う形
ベイズの定理は、形を変えて何度も同じ場所に顔を出します。
- 典型的なシナリオの形:「有病率 p%, 感度 a%, 特異度 b%。検査陽性のとき病気の確率は?」 — 数値は変わっても、構造はいつもこの形
- 分母にいる全確率: がベイズの分母として顔を出す。上の「真陽性 + 偽陽性」を足すという絵がこの式そのもの
- 自然頻度の絵:1000人の表に分けて数えると、同じ問題が割り算なしの数え上げに見える形に変わる
ベイズの分母 P(B) を組み立てる全確率の公式は 確率の基本法則。