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正規分布と標準化 — μ・σの役割を可視化

身長 165〜175cm の男性は何%? 答えは約59.6%。μ と σ を動かすだけで「割合」が面積として目に見える。

P.02 / NORMAL DISTRIBUTION

正規分布と標準化 — 平均と散らばりを操る

標準正規は μ=0, σ=1 に固定されていた。実際のデータは平均も散らばりも自由μ と σ を動かして正規分布を道具として使いこなそう。標準化で Z に戻せば、どんな正規分布も標準正規と行き来できる。

さっきの標準正規の 一般バージョンが正規分布 N(μ, σ²)μ が位置(どこが真ん中か)、σ が広がり(どれくらい散らばるか)。 スライダーを動かすと曲線がぬるっと動いて、指定した区間 [a, b] に入る確率(ピンクの面積)が リアルタイムで出る。
このピンクの面積こそ「割合」の正体。 たとえば成人男性の身長が N(170, 36)(平均170cm, σ=6cm)に従うとすると、 165〜175cm の人は全体の何%? → 標準化して z を計算すれば 約 59.6% と分かる。 偏差値、テストの点、測定誤差——だいたい正規で近似できるものは、ぜんぶこの面積計算で「〜%の人がこの範囲」が求まる。 下のスライダーでは標準化済みのスケール(μ=0, σ=1 付近)で同じ原理を体感できる。
Tip: グラフ上を直接ドラッグすると、近い方の a/b の境界を動かせる。

実験ガイド — 順番に試してみよう
  1. Step 1: μ=0, σ=1 のまま a=−1, b=1 → 約68.3%。これが「±1σ に約7割」。
  2. Step 2: σ を 0.5 に縮める → 同じ [−1, 1] でもピンク面積が激増。散らばりが小さい=ほぼ全員がこの範囲。
  3. Step 3: μ を 2 に動かす → 曲線ごとスライド。a, b はそのままなのに面積が激変。
  4. Step 4: グラフ上を直接ドラッグ → 近い方の境界 a/b が指に追従する。
P(a ≤ X ≤ b)
z-score (a)
z-score (b)

// ここで使われる公式

各パーツの役割
・(x − μ)²:平均 μ からの距離の二乗 → 左右対称の釣鐘型を作る原因
・÷ 2σ²:σ が大きいほど指数の減衰がゆるやか → 裾が広がり、山が低くなる
・exp(…):距離が増えると急激にゼロへ向かう → 「極端な値はめったに出ない」を表現
・1/√(2πσ²):σ に応じて高さを調整し、面積の合計を常に1に保つ係数

標準正規との関係
・μ=0, σ=1 を代入するとそのまま φ(z) = e−z²/2/√(2π) になる
・つまり一般正規は「標準正規を横に σ 倍引き伸ばし、μ だけ平行移動」したもの

// よくある誤解

❌「σ が大きい = 推定が不安定」

σ は「1個1個のデータがどれだけバラつくか」。推定の不安定さは SE = σ/√n で表す。σ=100 でも n=10000 なら SE=1 で推定はかなり安定。

❌「現実のデータはだいたい正規分布」

身長や測定誤差は正規分布に近いが、所得分布(右に歪む)、クリック率(0近辺に偏る)、故障時間(指数分布的)など、正規分布に従わないデータはたくさんある。

❌「平均 = 最頻値 = 中央値 は正規分布の証拠」

正規分布ならこの3つは一致する。しかし逆は成り立たない。たとえば対称なベータ分布 Beta(2,2) でも3つは一致する。なお一様分布は平均と中央値は一致するが、すべての値が同じ確率で出るため特定の最頻値が存在しない。

// よく出会う形

正規分布のまわりでは、標準化と表引きを軸にした同じ流れが何度も顔を出します。

  • z 変換から表引きへの流れ:N(50, 10²) で X ≥ 65 を見るなら、z = (65−50)/10 = 1.5 という形に揃える。「一般正規 → z スケールに翻訳」という同じ動きが、確率を扱うときに繰り返し顔を出す
  • 上側・下側のα%点の形:x = μ + z_α·σ。「中心 + 倍率 × ばらつき」という三層構造が、ここでも姿を現す
  • 正規分布の加法性:独立な X〜N(μ₁,σ₁²), Y〜N(μ₂,σ₂²) を足すと X+Y〜N(μ₁+μ₂, σ₁²+σ₂²)。平均は素直に足し算、分散も素直に足し算(標準偏差は足し算でない)という形になっている
  • 標準化の絵:z = (x−μ)/σ。「中心からのズレを、ばらつきの単位で測る」という同じ絵が、t統計量や検定統計量にも引き継がれていく

N(0,1) のベースだけを単独で触りたいときは 標準正規分布

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